若女将の加太便り

誕生15周年記念 ひいなの湯リニューアルOPEN!

「2022年02月」の記事一覧

旅館沼は深い

少し前のことですが、観光庁による外部セミナーの一環でJALの現役客室乗務員さんお二人をお招きして接遇研修を行いました。

約5時間のセミナーは初心に立ち返るとてもいい時間でした。なにより、お二人の美しいたたずまいはそこに存在されているだけで華でしたし、マスクをしていても伝わる表情、言葉選びや心を伝える術、いろいろと勉強になりました。

さて、サービス業において不満に思うことがあってもクレームを直接声に出すお客様の割合って何パーセントだと思いますか?たったの4%なのですよ。残りの96%の人は不満を口に出すことなく帰られ、二度と来ることはない、、、知ってはいたけれどとても恐ろしいことです。だからこそ改めて、勇気を出してご意見をくださるお客様のありがたみを大切にしなければならないと思っていた矢先、お客様から貴重なご指摘をいただきました。ちょうどお帰りの際にお会いでき、直接お礼を申し上げる事が出来て本当に良かった。

社長がよく言うのですが、旅館業は教育であると。本当ですね、旅館業に関わらず全てはヒトで成り立っているのだと思います。ハードはお金次第で変えることができるけど教育は果てがなく本当に難しい。教育の未熟さはクレームで発覚することが多いという事実は、クレームがいかに宝の山かがわかります。今回も社員のことを思っているようでまだまだ心底想いが足りていない自分、己に素直さがないから相手も心開かないのでは?そんな未熟さを反省する機会をいただきました。

ところで、先般のセミナーでも話題に上ったのですが、皆様には心に残った接客サービスはありますか?不意打ちのように受けた心遣いには感動しますよね。

たまにしか外出しない私が感動したことをひとつご紹介しますね。
それは家族全員お世話になっているお医者さんです。主人の幼い頃からの同級生でもあるS先生は、地域医療にとても熱心な本当に優しい方です。
ある日、診療時間を過ぎてお薬をもらいに行くと、S先生が一人で対応してくださいました。私はいつもお財布を札入れと小銭入れと分けているのですが、お薬代3,500円を支払うのに札入れから5,000円札を出しました。すると先生はおつり1,500円を500円玉3枚でくださった。これ、本当に小さい気遣いなのにとてもありがたいことなのがわかりますか?なぜなら1,000円札と500円玉だったらお財布を両方出して開けて入れるという作業をしないといけないから。そのとき両手がふさがっている私をチラッと見て、さりげなく気遣ってくださったのを理解し、うわ!っと感動しました。

感動ってほんの些細なことで充分起こり得るし、人の心を揺さぶるのは人を思う気持ちが生む優しい行動に対してなのだなーと思います。
そういえば当館でもお褒めいただいたことがありました!車椅子で食事処にいらしたお客様に、車椅子のままお食事ができるようにとコンロに敷く板を数枚重ねテーブルの足を伸ばして高さを合わせてくれたスタッフ。彼は介護の経験があるスタッフでした。機転を効かせ手間を惜しまずお客様を喜ばせた彼は素晴らしいと思います。

旅館は学びの宝庫です。終着点が見えない旅館のおもしろみを味わいつつ、これからも頑張りたいと思います。

長々とお読みいただきありがとうございました♪